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2015年07月31日

「ヒムカレッジ2015 vol.1」開催しました!

7月26日(日)に、パワープレイス株式会社 シニアディレクター プロダクトデザイナーの若杉浩一さんをお招きし、今年度第1回目となるヒムカレッジを開催いたしました!



□講師紹介
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若杉 浩一 氏
パワープレイス株式会社 シニアディレクター プロダクトデザイナー

1959年生まれ 熊本県天草郡出身
1984年九州芸術工科大学芸術工学部工業設計学科卒
同年株式会社内田洋行入社、デザイン、製品企画、
知的生産性研究所 テクニカルデザインセンター、を経て
内田洋行のデザイン会社 パワープレイス株式会社にて
リレーションデザインセンター設立、同部門シニアディレクター
東京芸術大学美術学部非常勤講師

企業の枠やジャンルの枠にこだわらない活動を行う
やりすぎてデザイナーを首になるも性懲りもなく、企業と個人、社会の接点を模索している。
スチール家具メーカなのに何故か、日本全国スギダラケクラブを南雲勝志氏と設立。
ドイツIF賞、DESIGNPLUS特別賞受賞、全国都市再生まちづくり会議2007にて2007年度まちづくり大賞をスギダラケ倶楽部にて受賞
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当日は、地域づくりに関わる方や大学生など、幅広い世代の45名の方々にご参加いただきました。当初予定してた定員数を越える参加者数となったため今回はスクール形式での開催となりました。




「杉」という地域資源を活用し人・地域・企業をつなげる取り組みや、若杉さんのこれまでの経歴や仕事に対する姿勢など盛りだくさんの内容をお話頂きました。

○田舎の人間関係が嫌いだった
熊本県の天草出身の若杉さん。
現在の人柄からは想像できませんが、子どもの頃は近所づきあいや日常的に濃い人間関係が苦手だったそうです。

また山の中での環境で育った為、子どもの頃からよく山へ草刈などに行っており、その頃から山の美しさと同時に厳しさを体感していたということでした。

○デザインの仕事へ
大学卒業後、若杉さんは株式会社内田洋行に入社しデザイナーとして数々のヒット商品を生み出しました。

しかし、「やってもやっても面白くない。先が見えないし、豊かな感じがしない」と思い始めた若杉さん。

とにかく売れるものや利益を優先した営業方針に疑問を覚え始め、自分が本当に売りたい商品を作ることが出来なかったといいます。
また会社の中でのデザイナーの立ち位置も厳しく、上手くいけば持て囃されるが、ダメなときにはすぐにチームが解体されるような状況だったということでした。
その頃はとにかく「谷あり底あり」の人生だったそうです。

○デザイナーをクビになり社内の職務を転々とした30代。
しかし、とうとうデザイナーをクビになり、OLさんと一緒にコピーをとったり会議室の予約などの内務の仕事をやったりと、
うだつの上がらない日々を過ごした30代。

そんな頃、若杉さんの師匠である家具プロデューサーの鈴木恵三さんから声がかかり、鈴木さんの会社の仕事を手伝い始めました。
そこは日本を代表するデザイナーが仕事をする環境で、普段デザインの仕事が出来ない状況もあり、
そこに行くと「デザインと繋がっている」と感じられ、とてもいい刺激になったそうです。

また鈴木さんに言われた「企業デザイナーはやめるな。日本のデザイナーは世界に通じる腕前を持っている。しかしそれが欧米に叶わないのはなぜかというと、デザインを流通させる企業側が非力だからだ。だからお前は企業側にいてデザインを強くしろ」という言葉から大きな力をもらい絶対にやめないことを若杉さんは決意しました。




○40代になり再びデザイナーの世界へ。そしてスギダラケ倶楽部の始動。
再びデザイナーとしての仕事を始めた若杉さんは、
利益の為のデザインではなく「楽しくかっこいいこと」をデザインでやりたいという思いからスギダラケ倶楽部の活動を始めました。
また自分のふるさとや地域、その中にある林業ががどんどん衰退していく状況に危機感を感じていた為、
「デザインの力で町を再生させることが出来るのではないか」と若杉さんは考え、そのこともスギダラケ倶楽部を始めるきっかけになりました。

日本全国スギダラケ倶楽部は現在、会員1800名。17支部あり、全国で活動が行われています。
戦後の植林によって杉だらけになってしまった日本の山林をやっかいもの扱いせず、材木としての杉の魅力 をきちんと評価し、産地・加工者・流通・デザイン・販売など杉を取り囲むシステムを結びつけることで、杉をもっと積極的に活用していく運動を行っています。

設立から14年経った現在でも活動が続いている理由を若杉さんは、女性の会員の力が大きいと言います。
元々男性の多い林業界なので、女性の視点や支援は活動の潤滑油になり継続的な活動には必要だということでした。



○世の中に広まっていくデザインとしての兆しが見えた「杉太」
若杉さんと一緒にスギダラケ倶楽部として活動を行う南雲勝志さんがデザインしたイス「杉太」
一本2000円の角材にステンレスの脚がついただけのとてもシンプルなイスを見た瞬間に、これは未来のデザインとして世に広まることを確信した若杉さん。
一本2000円程の角材にわずかなプロダクトをつけだけで2万円に。全国どこにでもある角材に企業のプロダクトがデザインで結ばれる「地域と企業がデザインで結ばれる」ことによって新しい価値が生まれ2000円が2万円の価値になるマジックに確かな手応えを感じていました。

若杉さんは「杉太」を会社で販売しようと話を持ちかけましたが取り合ってもらえず、「木目や色がバラバラになってしまうような商品は売れないし傷もつくし割れるしクレームの塊だ」と一蹴されてしまいます。

しかし「エンドユーザーは絶対に喜んでくれるし、地域の方も喜んでくれる」と確信を持っていた若杉さんは自分たちで自給自足的に販売を始めました。結果的に「杉太」は飛ぶように売れ、様々なバリエーションの商品の開発も進みスギダラケ倶楽部の本格的な活動がここから始まりました。


○スギダラケ倶楽部の活動を全国へ
全国の「地域に足を伸ばすことを始めたスギダラケ倶楽部。
地域に行くと荒れた山や限界集落に行きあたり、地域の問題にもぶつかりました。

そんな地域での活動を通して、普段会社でやっている仕事にはない、自分たちのデザインの力を求められている確かな意識と、
実際に地域の人からの「ありがとう」という感謝の言葉が何よりも嬉しく、活動のカンフル剤になったと若杉さんは語ります。

経済とは裏腹にある地域のことを見つめる中で、
やはり地域には「デザイン」が必要だと強く感じ、全国的なスギダラケ倶楽部の活動は始まりました。




・廃業になった高千穂鉄道のトロッコ列車を再び走らせるプロジェクト
・岐阜の長良杉の伐採体験などを行うツアー
・鹿沼のお祭りでの「屋台屋」プロジェクト
・・・全国の神様を象ったスギオメンや、木で出来た金魚をすくう「木んぎょすくい」などを杉で出来た屋台での出展

このような木を使った「生活・町・モノ」づくりが再生されるような活動は「楽しければ次もやろう」というようなスタンスで続けてきたそうですが、いつの間にか町の風物詩として、町の誇りになっていっていることを感じ、「デザインはこういうことから始まるんだな」と若杉さんは思ったそうです。
また鹿沼市ではスギダラケ倶楽部の活動から始まった町の盛り上がりに行政が着目し、助成金をだすなどの流れも出てきているということでした。

また「まちづくりは1年や2年では答えがでない。商品開発も仕込が2年あって製品開発して、、、となると売り上げが出始めるのは5年ぐらいたってから
面白くて楽しい取り組みを広めていくには短い期間で結果を出そうとせず、長い期間での継続的な活動が必要だとということでした。




○日向市駅プロジェクト
県や市等が一丸となって地元の杉で駅舎を作った「宮崎県日向市駅プロジェクト」
その取り組みの中で小学生に課外授業を行い、小学生による「地元の杉で屋台を作る」という取り組みも行われました。
子ども達自身がデザイナーになり、地元の地域資源に触れ、またデザインする事に触れ、現在、そして未来の地域づくりに繋がっていきました。

その他にも
・宮崎空港プロジェクト
・函館空港プロジェクト
などスギダラケ倶楽部の活動は全国に拡がっています。

また「杉=和風だという固定概念があるが、杉をモダンに現代の生活に合うようにデザインする知恵とか工夫が人間サイドになかったので杉の価値を落としてしまった。これからは杉はすごいんだと、財産だと、言い続けることが必要だ」という若杉さんの言葉が印象的でした。



○「obisugi-design」プロジェクト
日南の飫肥杉から作られた工芸品の商品開発・発信を行う「obisugi-design」プロジェクト。

日南市の市役所職員を中心に活動を行い、内田洋行との共同開発で出来たアシカラシリーズなどの家具や、
飫肥杉で出来たご祝儀袋やトロフィーなどのスギフトシリーズなどバラエティに富んだ製品を開発・発信しています。

中心メンバーである市役所の職員は自分たちの本来の業務とは別に無償で活動を行い、
その熱量に若杉さんも強く心を打たれたということでした。


○ネーミングの重要性
スギダラケ倶楽部には「杉太」や「連結決傘(連結できるようにした傘状の屋台)」など特徴的なネーミングの商品が多くありますが、ネーミングは重要だと語る若杉さん。名前がついた瞬間に生命を帯びていき愛着がわくのでネーミングには一番時間をかけるそうです。



○赤ちゃん木育広場
子どもの想像性を育み、そして大人も一緒にいて楽しめる空間を考えて作られらたということでした。

また運用スタッフには、山での伐採から実際にその空間にあるプロダクトづくりに関わってもらい、愛着が沸いてメンテナンスの面などでも上手く運営が出来るように体制を確立していったということでした。



○木育から新しい価値創造へ
モノより大切なものは「モノガタリ」である。
誇り・愛着・感謝。お金に変えられないものこそが、モノの価値を上げていく。
こういった共感価値こそが木の暮らし・文化の再生、そして文化価値の再生に繋がっていくのだと若杉さんは仰っていました。

そして世界第3位の森林保有国であり昔から木と共に暮らしてきた日本人だからこそ、
杉などの木材・地域資源に宿る文化や魂を見つめ直し、木材と木材を囲む財産の関係性のデザインが重要だということでした。

そして行政・企業・市民がそれぞれの間を線引きするのではなく多様な主体が繋がり、
ハーモナイズさせることによって、大きなものになっていくということでした。



○食える仕事・食えない仕事
Labor(労働・苦役)
work(仕事・努力して行う) 
play(遊ぶ・楽しむ・愉しみ・喜び)

「Laborは食える仕事だけど、労働であり苦役になってしまう。
Play=未来 は食えないけど楽しいし、喜びになり、そしてこの食えない仕事こそが社会や企業にとって重要だ」と話す若杉さん。

○価値創造とは
ものづくりやまちづくりは、0から1を創り上げる時が重要であり、
その時にいかに面白がれるかで、そこから出てくる「熱」や「ムーブメント」に繋がる。
若杉さんのこれまでの活動を象徴するような言葉でした。



この他にも講演時間内に収まりきれないほど多岐に渡って活動を展開されている若杉さん。
またこれまで関わってきた人々を「血の繋がってない親戚」だと仰っており、その関わり合いの深さを強く感じました。


★ワークショップ
ワークショップでは、グループ内での自己紹介と若杉さんへの質問を考えていただきました。




質疑応答では、
「特徴的なネーミングはどうやったら思いつくのですか」という質問に対して若杉さんは「若いうちはとにかくくだらないことをたくさん経験した方がいい。それが発想する力や自分の将来にも繋がる」とコメントされていました。




ご参加頂いた皆様からは、
「面白くてあっという間でした」
「『物語』の重要性、多様な主体との協働の重要性、楽しむこと、金儲けの発想からの脱却などの気づきがありました」
「杉はこうして使うもの、杉の価値はこれ、子どもはこんなものだと勝手に決め付けていたんだなと思いました。あらゆるものにあらゆる可能性があるんだなと感じました。」

といったご感想をいただきました!




今回のヒムカレッジは終始笑いの絶えない講演会となり、若杉さんの人柄、そして人間力に更に心を掴まれた参加者の方も多かったのではないでしょうか(●´∀`●)

若杉さん、そしてご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!


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