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2017年11月27日

地域版ヒムカレッジ in 小林×宮崎こばやし熱中小学校 『明日の自分に胸がはれる今日でありたい』開催しました!

10月29日(日)に、梶並農園 代表 梶並達明さんをお招きし、今年度第一弾となる地域版ヒムカレッジ 『明日の自分に胸がはれる今日でありたい 東京の名店シェフが調達に来る野菜を作る男の哲学』を開催しました!

地域版ヒムカレッジ in 小林×宮崎こばやし熱中小学校 『明日の自分に胸がはれる今日でありたい』開催しました!


□講師紹介
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梶並 達明 氏(梶並農園代表)

1957年岡山県生まれ。1995年、阪神淡路大震災をきっかけに大手食品メーカーを辞め、小林市にIターンして就農。妻 和枝さんの両親と4人で農業を営む。生のままでも安心して食べられる、おいしい野菜を探していたが、見つからなかったのが農業を始めるきっかけに。ひょんなきっかけで、東京の名店シェフが梶並さんの野菜を手に入れ、あまりのおいしさに感動して、梶並さんの作った野菜を利用するようになり、今ではイタリアンやフレンチ、ドイツ料理や中華料理などのシェフも顧客に多い。

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今回は宮崎こばやし熱中小学校とのコラボ企画。熱中小学校への参加者の方を始め、地域づくりに関心の高い方々がご参加くださいました!

地域版ヒムカレッジ in 小林×宮崎こばやし熱中小学校 『明日の自分に胸がはれる今日でありたい』開催しました!


大手食品メーカーサラリーマン、阪神大震災を経て農業へ
梶並さんの実家も農業をされていたそうですが、子どもの頃は農家が大嫌いで、親の職業に農業と書くのにすごく抵抗があったという梶並さん。反抗心も手伝い、実家は継がず大手食品メーカーに就職しました。
当時の仕事が大好きだった梶並さんは、休日でも職場に出向き先輩のやっている仕事を覚え、1年半で全ての部署の仕事を覚えて重宝されました。そんな仕事を辞めるきっかけになったのが阪神・淡路大震災でした。
震災時でも被災地に配給するために、梶並さん達従業員は休みなく働いていたそうです。そんな中聞こえてきた、課長の「明日も休み。どこにゴルフに行こうか。」という言葉に激怒。課長を怒鳴りつけてしまいました。2か月後に課長昇格試験をひかえながらも、自分の行動に責任を感じ辞職。当時の行動を人事の方に怒られたそうですが、辞めて23年経った今も会社の方々とは繋がりがあり、交流を大切にされているそうです。

地域版ヒムカレッジ in 小林×宮崎こばやし熱中小学校 『明日の自分に胸がはれる今日でありたい』開催しました!

「美味しい野菜をつくること」へのこだわり

・初めての農業
会社を辞め、小林に移った梶並さんが農業を始めた理由はシンプルで、小林で食べた野菜で美味しいものが見つからなかったから、自分で作ってみようというものでした。それまで梶並さんは全く農業をしたことがありませんでした。初めてねぎの種を蒔き、芽が出た時はⅤ字のクリップのような芽を見て「種を蒔くのが深すぎただろうか?」とすごく不安になるぐらいでした。しかし毎日様子を見に行っていたら、今度はピッと立ちだしたねぎを見て、「あっ、ねぎだ!」と感動したのを忘れられないそうです。自分で作ったねぎはすごく甘くてあくがないものでした。

・舌癌をきっかけに気づいたこと
 梶並さんが農薬を使わない農業を意識するようになったのは、ご自身が舌癌にかかった時でした。癌を取り除くため舌を切った際に、虫よけのための農薬をかけたら、外に皮膚が出ないようにマスクを二重にしていたにも関わらず5分もしないうちに舌がビリビリするように感じました。その時初めて、こんなに体に悪いものを使ってたんだと気づいたそうです。今でもその時のトラウマがあり、農薬はかけない、かけても必要最小限を心がけていらっしゃいます。
 今までと同じ作り方をしていてはだめだと考えた梶並さんは、小林のおじいちゃん・おばあちゃんに昔ながらの野菜の種まきの旬の見極め方を聞いて回りました。「スイートコーンは、柿木の新芽に、種が密をもったら蒔き時だよ。」、「ほうれん草は体育の日だ。10月10日運動会の日に植えてから運動会に行っていた。」といった昔ながらの教えを守って植えた野菜は、本当に根の張り方が強く他の作物よりも強かったり、あくやえぐみの少ないものになりました。堆肥も昔のやり方に習い、少量で薄くを心がけ、肥料が作物が成長した段階で切れてくれるやり方を一生懸命試行錯誤したそうです。そんな風に自分の中で「種を蒔く時期」を凄く大事にするようになっていったそうです。

・新しい野菜への挑戦
梶並さんは新しい野菜作りへも積極的です。十数年前、NHKで放送されていた「ほんまもん」というドラマの中で、沖縄の市場が出てくるシーンがありました。その市場にぶら下がっていた黄色い野菜が気になった梶並さんは、すぐに沖縄の観光協会に電話し、その正体である「ちゅらにんじん」の種を送ってもらいました。早速育ててみると、色はきれいですがにんじん臭が強いものだったそうです。それを機にいろんなところから黄色いにんじんを探し、美味しく育つ種を見つけることが出来ました。その他赤い大根、紫の大根などカラフルな大根を小林で始めて作ったのも梶並さん。色のはえる野菜はよく売れるそうです。
成功ばかりではなく、うまくいかないこともあります。フランス産のオイスターリーフは栽培が難しく今のところ断念しています。しかしまだまだ世界中のいろんな野菜に挑戦しつつ、日本にしかない既存の野菜も掘り起こしていきたいとのことでした。
また、毎年同じものを作るのではなく、レストランのからの要望も取り入れながら野菜を作られています。今年から来年は、要望の多かった菊芋の量を増やすそうです。今回はこの菊芋を参加者の皆さんに試食していただきました。
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東京の名店シェフとのつながり

・「地産地消」の前に東京へ
梶並さんには、東国原知事の時代から、「地産地消じゃないだろう。オリンピックが東京であるとしたら、東京に野菜を売り込むのはオリンピックが決まってからじゃない、その前だ。」という思いがありました。ひょんなことから知り合いになった大堂津のねこやという魚屋さん(東京の一流レストランに魚を卸しています)からの紹介もあり、最初は銀座のエスキスという店にサンプルの野菜を送りました。すると予想以上の反響があり、エスキスのシェフがテレビ局を連れてやってきたそうです。また、放送された番組を見て別の店から連絡が入り、東京とのやり取りが始まりました。
 東京のシェフが宮崎でイベントをする時に、「梶並くんの野菜を取り寄せたい」と言われるそうです。「イベント会場は梶並さんも知らないしどんな野菜を作っているかも知らない。けれど東京の一流シェフが来て、梶並の野菜を使いたいという。逆に東京に先に出してよかったのかなと。地産地消は後からシェフたちが広めてくれたので。」と語られていました。

・小林と東京の仲介役
「美味しい物って地元の人って知らないんですよ。生まれた時からそこの水飲んで、そこの空気吸ってそこの米食って。よそから来た人間からすると、小林の水は抜群に美味いです。空気も抜群に美味い。野菜も抜群に美味いですよ。だけどそれって普通なんですね。だけどよそから来た人にはこんないい景色があって、こんないい野菜があって、こんないい水があって、こんないい肉があって、というのをボンボン見つけていけるわけですよ。」梶並さんとよそから来たシェフが繋がりを持つことで、今まであったのに気づかれていなかった作物の使い道があらたに見つかることもあるそうです。「へべずってあるじゃないですか。薄く皮を彫刻刀のようなものでむくんですよ。それをウォッカにつける。それを3日置いて飲むと香りが抜群にいい。うちや、うちの近所で作っているへべずは農薬を使っていないから皮を付けた時に上に膜ができない。それを使ってくれだしてから今度は近くの農家さんもうちから販売が出来るようになってきました。」
また、梶並さんが野菜を送る店に、お酒など小林の商品を紹介することもしています。少しずつですがお店のラインに小林の物を乗せられるようになってきたそうです。今後も東京、大阪、名古屋などに太いラインを作っていきたいとのことでした。


野菜づくりのモチベーション

・失敗はない
梶並さんにとって、野菜作りに失敗はないそうです。その時点でやめてしまえば失敗だけど、それを糧に工夫をし、改善していくことが出来る。特に小林は年間を通して何度も同じ作物をそだてることができます。別の場所だったら年に一度限りの作物を農薬をかけて守らなくてはならないところを、農薬をかけないことにこだわったり自分の美味しいと思うものだけ出荷することにこだわれるのも、小林だから出来ることです。

・自分の武器をもつこと
梶並さん自慢のスイートコーンが、「あそこのスイートコーンは抜群にうまいぞ」と言ってもらえるまでに6、7年かかったそうです。今ではこだわりのスイートコーンは梶並さんの武器になっています。しかし今の小林の農家さんには家の自慢の味が無く、みな同じ味。自分のところの最高の味を見つけることで、子どもたちが農業を引き継ぎ、親を超えようとしてくれるのではないかと語られていました。

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明日の自分に胸をはれる今日でありたい

今回の講演のテーマ「明日の自分に胸をはれる今日でありたい」への想いを語っていただきました。
「凄いかっこいい言葉だけど、要は明日自分が楽したい。それだけなんですね。もう少しで今日草取り終わるんだけど、足だるいから止めようじゃなくて、ここまでしとけば明日が楽になる。自分を楽させる為には今日を頑張るしかないんですよ。
ここに居られる方は知らない方も多いと思いますが、ブッシュキャビアという柑橘類があります。細長いうりなみたいなミカンなんですね。今それを植えてて3年目なんですけども、来年には何とか実をつけさせたいなぁと思っています。これから体力がどうしても落ちてくるだろう、そしたらそのブッシュキャビアを次の自分の基幹作物にしてみたい、ということを考えています。1年後、2年後、3年後、4年後って楽しみがいっぱいあります。だから今日しとかないと明日に胸がはれないという部分があるんです。」

梶並さんのお話からは、美味しく育ってほしいという野菜にかける愛情を感じることができました。また、大事に育てた作物でも納得いかなければ廃棄し、何度でも挑戦するこだわりを貫かれていました。その姿勢が名店シェフたちからも認められたのではないかと思います。また、その姿勢を支えているのは小林という土地なのだということを考えさせられる講演でした。




ご参加頂いた皆様からは、

「地元生まれ、地元育ちの私は地域の良さが分かってない部分が多い。小林の良さを自分で探さないといけないと思った。自分の事業で、自分の力で登っていかれた梶並さんに頭が下がります。」
「生き方に共鳴し、感動し、農業についても凄く学ぶことの多い時間をありがとうございました。」
「野菜作りにかける思い、野菜に対する愛情が伝わる温かい講演でした。梶並さん輝いてますね。」
「達人の話に感動しました。」


といったご感想をいただきました!


参加していただいた皆様、そして講師の梶並さん、本当にありがとうございました!



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